細いガットと太いガット、どっちがいい?

ラケットの「先の重さ」で考えると、選び方が変わる

細いガットと太いガット、どっちがいいのか。

これは、バドミントンをしている人なら一度は迷うところだと思います。

よく言われるのは、

細いガットは弾きがいい。
太いガットは切れにくい。

という話です。

これは間違いではありません。

YONEXのEXBOLTシリーズで見ると、EXBOLT 63は0.63mm、EXBOLT 65は0.65mm、EXBOLT 68は0.68mmです。

YONEX公式カタログでも、EXBOLT 63は「差し込む高速ドライブ」、EXBOLT 65は「撃ち抜く高速ショット」、EXBOLT 68は「叩き込む高速スマッシュ」という方向で説明されています。

つまり、ざっくり言えば、

EXBOLT 63は、弾きとスピード寄り。
EXBOLT 65は、その中間。
EXBOLT 68は、耐久と押し込み寄り。

こういう見方ができます。

ただ、ここで終わると少し浅いです。

本当に考えたいのは、そのガットを「どんなラケットに張るのか」です。

同じ細いガットでも、ヘッドヘビーのラケットに張るのか。
ヘッドライトのラケットに張るのか。
イーブン寄りのラケットに張るのか。

ここで意味が変わります。

ガットはラケットの「先」に張られている

ラケットは、手元で振る道具です。

そのため、手元に近い部分が少し重くなるよりも、ラケットの先の方が少し重くなる方が、振った時には重く感じやすくなります。

これは感覚の話ではなく、物理の話です。

バットを想像すると分かりやすいと思います。

同じ重さのバットでも、グリップ側が重いバットより、先の方が重いバットの方が振り出しは重く感じます。

ラケットもそれに近いです。

ガットはラケットの先、つまりヘッド部分に張られています。

だから、太いガットを張るということは、ラケットの先の存在感を少し足す方向になります。

これが、太いガットの大事な意味です。

太いガットは、ただ「切れにくい」だけではありません。

ラケットの先に少し重さを足す方向になり、しっかり振れた時には、シャトルを押し込む感覚につながりやすくなります。

ただし、良いことだけではありません。

先が重くなると、振り出しは重くなります。

レシーブでパッと出す。
ドライブで素早く返す。
前衛で一瞬反応する。
低い展開で何本も切り返す。

こういう場面では、ラケットの先の重さが邪魔になることがあります。

つまり、太いガットは、しっかり振れた時には押し込みやすい。
でも、速く出す場面では少し重くなる。

この両方があります。

細いガットは、ラケットを速く出しやすい

では、細いガットはどうか。

細いガットは、ラケットの先を重くしにくい方向です。

だから、ラケットを出しやすい。
戻しやすい。
切り返しやすい。

ドライブ、レシーブ、プッシュ、前衛の反応。

こういう速い展開では、細いガットの良さが出やすくなります。

特にダブルスでは、「強く打つ」より先に、「間に合う」「面を出せる」「次に戻れる」が大事になる場面が多くあります。

そこでは、ラケットの先を軽く使えることに意味があります。

ただし、細いガットにも弱点があります。

ラケットの先の存在感を足す方向ではないので、打球時の「押し込む感じ」は太いガットほど出にくいことがあります。

つまり、

細いガットは、速く動かしやすい。
太いガットは、しっかり振れた時に押し込みやすい。

こう考えると分かりやすいです。

ヘッドヘビーに太いガットは合うのか

ヘッドヘビーのラケットには、太いガットが合う。

なんとなく、そういうイメージを持っている人もいると思います。

たしかに、その考え方には理由があります。

YONEXの分類でも、ASTROXはPOWER、HEAD-HEAVYの方向に置かれています。

ヘッドヘビーのラケットは、もともとラケットの先が効きやすいラケットです。

そこに太いガットを張ると、さらに先の存在感が強くなります。

これは、威力方向への足し算です。

スマッシュ。
後衛から押し込むショット。
上から打ち込む一発。

こういう場面では、ヘッドヘビー × 太いガットの考え方はかなり分かりやすいです。

しっかり振れる人なら、ラケットの重さを使ってシャトルを押し込みやすくなります。

ただし、振り遅れる人には逆です。

ラケットの先が重くなりすぎて、レシーブが遅れる。
ドライブで差し込まれる。
次の準備が遅れる。

そうなることがあります。

だから、ヘッドヘビー × 太いガットは、「強い組み合わせ」ではありません。

正確には、「扱える人には強い組み合わせ」です。

ここを間違えると、ただ重いだけになります。

ヘッドヘビーに細いガットはどうか

ヘッドヘビーのラケットに、細いガットを張るのも自然です。

ラケット自体には、すでに先の重さがあります。
でも、ガットでは重くしすぎない。

つまり、

ラケットで押す。
ガットで抜けを作る。

そういう組み合わせです。

スマッシュの重さは欲しい。
でも、レシーブやドライブで遅れたくない。
ヘッドヘビーは使いたいけれど、全体の重さは少し抑えたい。

そういう人には、ヘッドヘビーに細めガットという考え方もあります。

「ヘッドヘビーだから太め」と決めつける必要はありません。

ラケットの先がすでに効いているなら、ガットで少し軽さや弾きを足す。

これも、十分に理にかなっています。

ヘッドライトに細いガットは合うのか

次に、ヘッドライトのラケットです。

YONEXの分類では、NANOFLAREはSPEED、HEAD-LIGHTの方向に置かれています。

ヘッドライトは、ラケットの先が軽く感じやすいラケットです。

速く出せる。
速く戻せる。
切り返しやすい。

ここに細いガットを張ると、ラケットの軽快さをさらに活かす方向になります。

ヘッドライト × 細いガット。

これは、速さを取りにいく組み合わせです。

レシーブ。
ドライブ。
前衛。
速いラリー。

こういう場面では分かりやすい強さがあります。

ただし、これも万能ではありません。

軽く出せる分、シャトルを押し込む力は自分のスイングで作る必要があります。

楽に重い球が出る組み合わせではありません。

「速いけれど、少し軽い」

そう感じる人もいます。

ヘッドライトに太いガットはどうか

では、ヘッドライトに太いガットはダメなのか。

そんなことはありません。

むしろ、これも意味があります。

ラケットは軽く出せる。
でも、ガットで少し打球感に厚みを足す。

そういう考え方です。

ヘッドライトの操作性は欲しい。
でも、打った時に軽すぎるのは嫌。
クリアやスマッシュで少し押し込み感が欲しい。
ガットの耐久も見たい。

そういう場合は、ヘッドライト × 太いガットも十分にありです。

ヘッドライトの軽快さを残しながら、ガットで少し打球感を厚くする。

これは、速さと打ちごたえのバランスを取る考え方です。

「ヘッドヘビーには太め、ヘッドライトには細め」は半分合っている

ヘッドヘビーには太め。
ヘッドライトには細め。

この考え方は、半分合っています。

ヘッドヘビー × 太めは、先の重さをさらに使う組み合わせです。
ヘッドライト × 細めは、速さをさらに伸ばす組み合わせです。

どちらも、方向性としては分かりやすいです。

でも、それが正解というわけではありません。

ヘッドヘビー × 細めは、押し込みと振り抜きのバランスを取る組み合わせです。
ヘッドライト × 太めは、軽さに打球感の厚みを足す組み合わせです。

つまり、ガット選びは「細いか太いか」だけで決まりません。

ラケットの先が重いのか。
軽いのか。

自分は速く振りたいのか。
しっかり押し込みたいのか。

速い展開で遅れたくないのか。
上からの一発に重さが欲しいのか。

ここを見た方が、かなりズレにくくなります。

まとめ

細いガットは、ラケットを速く出しやすい。
太いガットは、しっかり振れた時に押し込みやすい。

ヘッドヘビーは、先の重さを使いやすい。
ヘッドライトは、速く動かしやすい。

だから大事なのは、「どれが正解か」ではありません。

自分が振り切れる重さの中で、速さを取るのか。
押し込みを取るのか。

ガット選びは、そこを見ると分かりやすくなります。

ここまで、少し理屈っぽく書きました。

でも、最後に大事なのは、やはり自分が打っていて気持ちいいかどうかです。

細いガットの方が、打球音が高くて気分が上がる。
太いガットの方が、しっかり打っている感覚があって好き。

そういう選び方も、とても自然です。

高い音でスッと入るヘアピン。
しっかり面に乗って押し込めたスマッシュ。
自分の中で「今の気持ちよかった」と思える感覚。

それも、ガット選びでは大切な要素です。

物理的に考えると、選び方の理由は見えやすくなります。

でも、ガット選びはテストの答え合わせではありません。

速さを取りたいのか。
押し込みを取りたいのか。
音が好きなのか。
打感が好きなのか。

その全部が、選ぶ理由になります。

細いガットが好きでもいい。
太いガットが好きでもいい。

自分のプレーと、自分の気持ちに合うものを選ぶ。

それくらい自由に考えていいと思います。

参考資料・出典

・YONEX 2024 BADMINTON CATALOG
・YONEX Racquet Selector
・YONEX EXBOLT 63 / 65 / 68 公式情報
・YONEX ASTROX / ARCSABER / NANOFLARE シリーズ分類
・慣性モーメントに関する物理資料
・運動量・力積・衝突に関する物理資料

カテゴリー: 店長日記, 豆知識, バドミントンお役立ち.
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