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「前回も25ポンドで張ったのに、今回も25ポンドなのに、張り替えた直後だけやたらよく飛ぶ」
バドミントンをしていると、そんな感覚になったことがある方は少なくないと思います。
しかも、その変化は単なる気のせいでは片づけにくいものです。
- いつもより少ない力で飛ぶ
- クリアが奥まで行きやすい
- シャトルの離れが速く感じる
- 打球音が高くて気持ちいい
- 逆に少し弾きすぎるように感じる
この違和感の正体をひとことでまとめるなら、「前回25ポンドで張ったガットが、使い続けたあとも25ポンドのままとは限らないから」です。
ここが今回の答えの中心です。ただ、これだけだと少しもったいないので、もう少し深掘りしていきます。
25ポンドは「ずっと続く状態」ではなく「張るときの指定値」
まず大前提として、25ポンドという数字は、張り上がったあとに永久に維持される数値ではありません。
25ポンドとは、ガットを張るときにマシンで引っ張る際の指定値です。つまり、「どの強さで張るか」を示す基準であって、「今この瞬間も必ず25ポンドを維持している」という意味ではありません。
ここを誤解していると、
- 前回25ポンド
- 今回も25ポンド
- だから同じになるはず
という考え方になりやすいのですが、実際にはそう単純ではありません。
ガットは張った直後から少しずつ変化していきます。そのため、「前回25ポンドで張ったガット」と「今張ったばかりの25ポンド」は、同じ数字でも同じ状態ではないのです。
厳密にいえば、使い込んだガットは、もう「張った直後の25ポンド」ではありません。
ガットは使ううちにどう変わるのか
では、時間が経つと何が変わるのでしょうか。大きく分けると、次のような変化が起こります。
1. テンションが少しずつ落ちる
ガットは張りたての状態から、時間の経過や使用によって少しずつ張力が落ちていきます。
これは特別な異常ではなく、ごく自然な変化です。張りたての時点で最も張っていて、そこから使用や環境の影響を受けながら変化していきます。
そのため、前回25ポンドで張ったガットも、切れる直前までその数値を維持しているわけではありません。
2. ガット自体が伸びる
使用しているうちに、ガットは打球のたびに負荷を受けます。その積み重ねによって、ガットの弾性の出方や戻り方にも変化が出てきます。
張りたての頃は、しっかり伸びて戻る反応がそろっています。一方で、使い込んだガットはその反応が少しずつ鈍くなっていきます。
つまり、「同じように当てたつもり」でも、返ってくる反応が変わってくるわけです。
3. 交点が摩耗する
バドミントンのガットは縦横に交差しています。その交点は、打つたびに少しずつ擦れます。
使い続けると、交点に小さな溝ができたり、摩耗が進んだりします。すると、ガット同士の動き方や戻り方が変わってきます。
この変化は見た目では分かりにくいこともありますが、打球感にはしっかり影響します。
張りたてのガットが「シャキッ」とした反応を返してくれるのに対して、使い込んだガットは少しずつ「落ち着いた」「鈍った」方向へ寄っていくことがあります。
4. 打球音も変わる
意外と見落とされやすいのが、音です。
張りたてのガットは、打球音が高く、はっきりしていて、気持ちよく感じやすいです。逆に、使い込んだガットは音が少し落ち着き、鈍く感じることがあります。
プレーヤーは思っている以上に、音からも打球感を受け取っています。そのため、「飛ぶように感じる」の中には、実際の反発だけでなく、音から受ける印象も混ざっている場合があります。
切れていないガットの打感が変わる理由は、切れていなくても変わる打感と張り替え判断のコツでも詳しく紹介しています。
なぜ張り替え直後に「よく飛ぶ」と感じるのか
ここまでの話をまとめると、張り替え直後に「よく飛ぶ」と感じる理由はこうです。
前回25ポンドで張ったガットは、使用中に次のような変化を受けています。
- テンションが落ちる
- ガットが伸びる
- 交点が摩耗する
- 音や反応が変わる
そして多くの場合、プレーヤーはその状態に少しずつ慣れています。つまり、本人の中ではその感覚が「普通」になっています。
そこへ新品のガットをもう一度25ポンドで張ると、次のような変化が起こります。
- 張りたての張力感に戻る
- ガットの伸び戻りがはっきりする
- 面全体の反応がそろう
- 球離れが速く感じる
- 音も高く、気持ちよく感じる
だからこそ、「同じ25ポンドなのに、張り替えた直後だけやたら飛ぶ」と感じるのです。
これは矛盾ではありません。比較している対象が、実は同じ状態ではないからです。
「よく飛ぶ」は、何が変わった感覚なのか
ここでさらに一歩深掘りすると、「よく飛ぶ」という感覚の中には、いくつか別の要素が混ざっています。
1. 本当に少ない力で飛んでいる
これは張りたての反発が戻ったことで、シャトルが楽に飛ぶように感じているケースです。
2. 球離れが速く感じる
飛距離だけでなく、「当たってから離れるまで」が速く感じることで、飛ぶ印象が強くなる場合があります。
3. 音が良くなって飛ぶ気がする
打球音が気持ちよくなることで、感覚的に「飛ぶ」「弾く」と受け取りやすくなることがあります。
4. 使い込んだ状態に慣れていただけ
これも大きいです。前のガットの落ち着いた反応に慣れていたため、新品の反応が強く感じられるのです。
つまり、「よく飛ぶ」とひとことで言っても、必ずしも単純な飛距離の話だけではありません。
毎回同じテンションで張れば同じ打球感になるのか?
結論からいうと、同じテンションで張っても、毎回まったく同じ打球感になるとは限りません。
理由は今回説明してきたとおりです。
- 前のガットがどこまで変化していたか
- 張り替えるタイミング
- その時の自分の慣れ
- 気温や湿度
- シャトルの状態
- ラケット自体の状態
こうしたものが重なって、最終的な打球感が決まります。
だからこそ、テンションの数字だけを見て「同じにしたのに違う」と考えるよりも、次のように体感の中身を分けて考えることが大切です。
- 張りたてで飛びすぎたのか
- 数日使うとちょうどよかったのか
- 少し弾きすぎたのか
- 音が高く感じただけなのか
次回の張り替えで伝えると、より調整しやすいこと
もし次回の張り替えで、より自分に合った仕上がりを目指したいなら、単に「前と同じ25ポンドで」だけでなく、次のような感想も伝えられると判断材料になります。
- 張りたて直後は少し飛びすぎた
- 2〜3日使うとちょうどよかった
- 打球音は気持ちよかった
- 球離れが少し速すぎた
- もう少し抑えたかった
- 前の張り上がりより少し柔らかく感じたかった
こうした言葉があると、数字だけでは分からない部分まで整理しやすくなります。
張り替え時期そのものに迷っている方は、ガット張り替え時期の目安と切れる前のサインもあわせてご覧ください。
自分のガットの変化を数値で確認する方法
「自分のガットは、張りたてからどれくらい変化しているのだろう」と気になる方は、ストリングテンション測定器を使って記録する方法もあります。
ただし、測定器に表示された数字を、ガット張り機で指定した25ポンドとそのまま比較するものではありません。
測定器や測る位置、測定方法によって、表示される数値は変わります。
そのため、
・同じラケット
・同じ測定器
・同じ測定位置
・同じ測定方法
で定期的に測り、張りたての数値からどれくらい変化したかを見るのがおすすめです。
「現在の正確なポンド数を当てる」というより、張りたてからの変化を追うための目安として使うと、ガットの状態を理解しやすくなります。
まとめ|前回25ポンドで張ったガットは、切れる直前にはもう25ポンドではない
今回のポイントを最後にまとめます。
前回も25ポンド。今回も25ポンド。それでも張り替え直後だけ、やたらよく飛ぶように感じる。
その理由は、前回25ポンドで張ったガットが、使い続ける中で変化していたからです。
ガットは使用中に、次のような変化を受けます。
- テンションが落ちる
- 伸びる
- 交点が摩耗する
- 打球音や反応が変わる
その状態に慣れたところへ、新品を25ポンドで張り直す。すると張りたての反応が戻るため、「よく弾く」「よく飛ぶ」「音も気持ちいい」と感じやすくなります。
つまり、前回25ポンドで張ったガットは、切れる直前にはもう25ポンドではない。だから同じ25ポンドで張り替えても、張りたては違って感じるのです。
もし張り替え直後の感覚に違和感があった場合は、数字だけでなく「どう違ったか」を整理しておくと、次回の張り替えでより自分に合った調整がしやすくなります。
ガット未定、テンション未定でも、張り替え時に相談しながら考えることは可能です。












